12.2017.15

五十肩のつらい痛みに漢方でアプローチ:回復と予防のために

寒さが厳しくなるにつれて、肩の奥がズキズキと痛み始めたり、肩甲骨周りや首筋まで凝り固まったり、肩の動く範囲が狭くなってきたと感じることはありませんか?それは五十肩が静かに進行しているサインかもしれません。五十肩の急性期は、夜も眠れないほどの激痛に襲われることもあります。痛いからといって肩を動かさないでいると、炎症が長引き、関節が固まって動かなくなる「癒着」を引き起こす可能性があります。このような場合は、すぐに炎症を抑え、痛みを和らげることが重要です。むやみに強く揉んだり、マッサージしたりすることは避けてください。漢方薬は、五十肩による身体の機能低下を防ぎ、症状を改善するのに役立ちます。

五十肩の急性期にはまず「炎症と痛み」を和らげる

五十肩の急性期には、痛みがひどく、夜も眠れないほどになることがあります。痛みが強いと肩を動かすのが怖くなり、それがさらなる炎症や癒着を招く悪循環に陥ることも。この時期には、速やかに炎症を抑え、痛みを和らげることが最優先です。ご自宅でできるケアとして、**「活血定痛方(かっけつていつうほう)」** という漢方薬の服用をおすすめします。これは白芷(びゃくし)、川芎(せんきゅう)、防風(ぼうふう)、羌活(きょうかつ)などの生薬から成り、血行を促進し、痛みを鎮める効果が期待できます。1 日 1 包を目安に 3〜5 日間継続して服用することで、炎症反応を和らげることができます。さらに、** 青草膏(せいそうこう)** などの外用薬を併用することで、急性期の症状をより早く落ち着かせることが期待できます。

慢性期・回復期は「癒着の改善」と「機能回復」を目指す

急性期を過ぎた慢性期・回復期に入ったら、徐々に肩関節のリハビリを始めることができます。この時期は、ズキズキとした痛みから、鈍い痛みやだるさに変化し、前段階の炎症によって関節包が腫れたり、癒着したりしているため、肩の可動域が狭くなっていることが多いです。

漢方医学では、**鍼灸(しんきゅう)小針刀(しょうしんとう)**といった治療法を用いて、段階的に癒着を取り除き、肩関節の動きを広げていきます。例えば、臂臑(へいじゅ)、肩前(けんぜん)、肩髃(けんぐう)、臑会(じゅえ)などのツボに鍼をすることで、肩を通る経絡(気の通り道)の流れを効果的に活性化させることができます。小針刀は、ごく小さなメスを用いる低侵襲な治療法で、癒着部分に直接アプローチし、組織の再生を促します。これらの治療を週に1〜2回継続することで、少しずつですが、古くなった組織を取り除き、新しい組織を生成する手助けをします。

また、体力に自信がない方や、気血(エネルギーと血液)が不足していると感じる方には、三痹湯(さんぴとう)右帰丸(うきがん)、****当帰四逆湯(とうきしぎゃくとう)**といった漢方薬の服用が推奨されます。これらの漢方薬は、血行を促進し、肝臓や腎臓の働きを補うことで、患者様ご自身の体力を底上げし、肩関節の回復をサポートします。

日常生活での注意と予防

普段から肩を動かすことを意識し、長時間同じ姿勢でいることは避けましょう。ブランコ運動(ペンデュラムエクササイズ)や窓拭きをするような動きなど、関連するリハビリ運動を積極的に取り入れることが大切です。温湿布などを併用して肩を温めることも、肩関節の可動域を広げ、さらなる拘縮を防ぐのに役立ちます。

ただし、肩や腕の痛み、首筋の痛み、首や肩の凝りが同時に現れる場合は、必ず医師にすべての症状を伝え、適切な診断を受けるようにしてください。


この漢方知識が、日本の皆さんの五十肩の悩みに対する理解を深め、改善の一助となれば幸いです。もし当社の漢方商品にご興味をお持ちいただけましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。