10.2024.08

テニス肘の謎を解き明かす:日常生活に潜む落とし穴と自分でできるケア

晴れたある朝、近所のテニスサークルで汗を流していた田中さん(50 代)。「テニスは週に 2 回以上楽しんでいて、ラケットを振るたびに心身ともにリフレッシュできるんだ」と語るベテランの愛好家です。しかし、最近になって右肘のあたりに違和感を覚えるようになりました。特にサーブやスマッシュの際に痛みが走り、次第にその痛みはテニス中だけでなく、日常生活にも支障をきたすように。コップを持つ、買い物袋を提げる、車のハンドルを握る、そんなちょっとした動作のたびにズキッと痛むのです。

最初は「ちょっとした筋肉痛だろう」「使いすぎで疲れているだけだ」と軽く考えていた田中さん。しかし、数週間経っても痛みは引かず、むしろ悪化する一方でした。整形外科を受診した結果、医師から告げられたのは「上腕骨外側上顆炎(じょうわんこつがいそくじょうかえん)」、いわゆる「テニス肘」という診断でした。

田中さんは「テニスをしていたからテニス肘になったのか」と納得しましたが、医師からは「ラケットを繰り返し振る動作によって、肘の腱が酷使され、小さな損傷や変性が蓄積した結果です」と説明を受け、ご自身の体との向き合い方を改めて考えさせられたそうです。

実はテニス肘は、テニスをする人だけのものではありません。日常生活における特定の動作が原因で発症することも多いのです。手首や前腕を繰り返し使う動作や、特定の筋肉群への過度な負担が、腱の損傷を引き起こします。いくつか具体的な例を見ていきましょう。


「テニス肘」はテニスだけじゃない!身近な活動に潜む落とし穴

  1. デスクワークでマウスを長時間使う方 都内の IT 企業で事務職として働く佐藤さん(40 代)。毎日パソコンと向き合い、何時間もマウスを使って書類作成やデータ編集を行っています。数週間前から、右肘の外側に痛みを感じ始め、特に頻繁にクリックしたり、マウスカーソルを動かしたりする際に痛みが強くなることに気づきました。マウス操作は、手首の小さな動きを繰り返し行うため、特に手首を伸ばす筋肉群に負担がかかります。一見軽微な動作に見えても、長時間続けることで慢性的な損傷に繋がり、テニス肘を引き起こすことがあるのです。

  2. 大工仕事や DIY を楽しむ方 経験豊富な大工である鈴木さん(50 代)は、日々ハンマーやドライバー、電動ドリルといった工具を使って作業をしています。特にネジを締めたり、電動ドリルを長時間使ったりする際、腕に力を入れ続け、繰り返しねじる動作を行う必要があります。これらの動作は、上腕骨外側上顆に大きな負担をかけ、腱に微細な損傷を繰り返し与えます。長年この仕事に従事してきた鈴木さんは、肘の外側の痛みが続き、以前よりも力が入らないと感じるようになりました。手首を伸ばす筋肉群の酷使と、腕を継続的にねじる活動による腱の変性は、まさにテニス肘の典型例と言えるでしょう。

  3. フィットネスや筋力トレーニングに励む方 健康維持のためにジム通いが日課の山本さん(40 代)。特に前腕や上半身の筋力トレーニングに熱心に取り組んでいます。しかし数ヶ月前から、「リストカール」や「バーベルプレス」などのトレーニング中に、肘の外側に痛みを感じるようになりました。手首を伸ばしたり、繰り返し握りしめる動作の際に特に痛みが増します。これは、トレーニング中に前腕の筋肉群に過度な負荷がかかり、腱が過度に引き伸ばされることで微細な断裂が起き、修復が追いつかなくなるためです。過度な筋力トレーニングは腱の損傷を悪化させ、上腕骨外側上顆炎へと発展する可能性があります。

  4. プロの音楽家 プロのバイオリニストである中村さん(40 代)は、毎日数時間にわたる練習を欠かしません。バイオリンの演奏では、手首を長時間特定の姿勢に保ち、指と腕を繊細かつ繰り返し動かす必要があります。特に右手(弓を持つ手)は、手首の伸展と回旋動作を絶えず行います。数年経ち、右手肘の外側に痛みが現れ、特に長時間のリハーサル後には痛みが顕著になります。音楽家が繰り返し行う微細な動き、特に手首の伸筋群を継続的に使うことは、高頻度な手首のねじれと相まって腱の使いすぎを招き、テニス肘を発症しやすいのです。

  5. ガーデニングを趣味にする方 定年退職後、毎日何時間も丹精込めて庭の手入れをするのが楽しみな林さん(60 代)。ハサミで植物を剪定したり、土を耕したり、草を抜いたりするこれらの作業は、手首と前腕の力を繰り返し使うだけでなく、手首を伸ばした状態を維持したり、工具を繰り返し握ったりする動作を伴います。時が経つにつれ、肘の外側に持続的な痛みを感じるようになり、特に芝生を刈ったり、枝を剪定したりする際に痛みが悪化します。ガーデニング作業は、手と前腕に長時間継続的な作業を要求し、繰り返しの動作が前腕の伸筋群に過度な負荷をかけるため、テニス肘の形成に繋がるのです。

これらの例からわかるように、プロの仕事であれ趣味であれ、手首や前腕を繰り返し伸ばしたり、過度に使ったりするあらゆる動作がテニス肘を引き起こす可能性があります。一見無関係に見える様々な仕事や活動も、共通して繰り返しの動作が腱の慢性的な変性を引き起こし、最終的に痛みに繋がるのです。


テニス肘(上腕骨外側上顆炎)のメカニズムを深く理解する

テニス肘、正式名称「上腕骨外側上顆炎(じょうわんこつがいそくじょうかえん)」は、慢性的な腱の変性疾患です。主に前腕の伸筋群の腱、特に総指伸筋腱が影響を受けます。主な特徴は、上腕骨外側上顆部の痛みで、この痛みは前腕に沿って広がり、手首を伸ばしたり指で物を掴んだりする際に悪化します。

発生原因

テニス肘の主な原因は、腱の酷使(オーバーユース)です。特に、テニスのスイング、ウエイトリフティング、投擲など、前腕の伸筋を繰り返し使う動作がこれにあたります。繰り返しストレスがかかることで、上腕骨外側上顆に付着する腱の線維が徐々に損傷されます。腱が繰り返し過度な張力や伸張を受けると、微細な断裂が生じ、組織の修復が追いつかなくなります。これが長期間続くと、慢性的な変性へと移行します。

組織の変化

テニス肘において影響を受ける腱は、急性炎症の状態というよりも、** 腱鞘炎(けんしょうえん)** と呼ばれる腱組織の変性的な変化を示すことがほとんどです。これは、典型的な急性炎症反応とは異なります。微視的なレベルでは、以下のような変化が見られます。

  • コラーゲン線維の配列異常: 正常なコラーゲン線維は規則正しく平行に配列していますが、テニス肘の病変部では、これらの線維が乱雑に配列し、断裂や崩壊を伴います。
  • 細胞外マトリックス(ECM)の変化: コラーゲンやプロテオグリカンなどの細胞外マトリックスの主要成分が異常に増加します。この変化により、腱の構造的な脆弱性が増します。
  • 血管新生(ネオバスキュラリゼーション): 病変部には異常な血管新生が伴うことがよくありますが、これらの新生血管は機能的な修復とは関連せず、むしろ慢性的な痛みに関与していると考えられています。
  • 線維化と瘢痕形成: 損傷した腱は線維化組織に置き換わります。この線維化組織は弾力性に乏しく、腱の負荷耐性をさらに低下させます。

痛みのメカニズム

痛みの発生は、主に以下のいくつかの側面と関連しています。

  • 変性: 腱内のコラーゲン線維の変性や断裂が進むにつれて、局所の組織が不安定になり、日常的な使用で機械的ストレスを受けやすくなり、痛みを引き起こします。
  • 異常な神経過敏: 局所の組織損傷と慢性的なストレスにより、影響を受けた領域の痛覚神経(侵害受容器)が持続的に刺激され、局所および周囲の組織の痛み過敏化現象、いわゆる ** 末梢性神経過敏(peripheral sensitization)** を引き起こします。
  • 異常な血管新生と痛みの関連: 異常な血管新生は、新たな感覚神経線維の病変部への侵入を伴うことがあり、これらの神経線維が痛みの伝達を増強する可能性があります。また、血管の新生と圧迫が局所的な虚血を引き起こし、痛みの反応をさらに悪化させることもあります。
  • 化学的メディエーターの放出: 病変部からプロスタグランジンやサイトカインなどの炎症性メディエーターが放出され、これらの化学物質が直接痛覚神経終末に作用し、痛みの感覚を刺激します。

進行

テニス肘は通常、以下の段階を経て進行します。

  • 初期の酷使による損傷: 前腕伸筋の反復運動中に微細な断裂が生じますが、身体が限定的な自己修復を行うため、症状はまだ顕著ではありません。
  • 継続的なストレスと腱の変性: 損傷が蓄積し、修復能力が追いつかなくなると、腱の変性がさらに進行し、微細構造の損傷がより深刻になります。この段階で、患者は顕著な局所的な痛みと活動制限を感じ始めます。
  • 慢性的な変性: 慢性期に入ると、病変腱の構造的無秩序が顕著になり、特に患部の筋肉群を使用する際に、痛みが持続的な問題となります。

テニス肘が適切な治療を受けずに放置されると、最終的には腱の構造的な永続的損傷、ひいては機能喪失に至る可能性があります。


テニス肘(上腕骨外側上顆炎)の治療とセルフケア:漢方の知恵も取り入れて

テニス肘(上腕骨外側上顆炎)の治療方法は、症状の重症度、患者さんの生活状況、そして回復目標に応じて、医師が調整します。医師の治療と合わせて、ご自宅でできる一般的なセルフケアをいくつかご紹介しましょう。

  1. 休息と活動の調整 テニス肘の治療における最も重要な第一歩は、症状を引き起こす活動を減らすか、完全に休止することです。腱に十分な休息を与えることで、継続的な損傷を減らし、修復を促進します。特に痛みを悪化させる手首の動きは、避けるように心がけましょう。

  2. アイシングと温熱療法 アイシング(氷で冷やすこと)は、急性期の炎症反応を効果的に軽減します。特に痛みや炎症が始まったばかりの時期に有効です。1 回あたり 15〜20 分程度、1 日に数回行うと良いでしょう。症状が慢性期に移行したら、温熱療法(温めること)が血行を促進し、腱の修復を助けます。

  3. サポーターと装具 前腕用サポーターやテニス肘用バンドは、手首と前腕の負担を軽減し、腱の過度な動きを制限します。これらの装具は、力を手首の下に分散させることで、上腕骨外側上顆への圧力を軽減し、症状の緩和に役立ちます。

  4. 漢方由来の塗り薬(黒膏薬) このような症状に対して、漢方薬を調合して作られた「黒膏薬(こくこうやく)」という塗り薬は、ご自宅で手軽に貼ることができ、不快感を和らげる助けとなります。患部の深層組織の修復をサポートする「万寧膏(ウィイアン)」のような、保湿効果が高く、血行促進や鬱血改善作用が期待できるものが選択肢の一つとなります。東洋医学の知恵を取り入れたケアとして、一度検討されてみてはいかがでしょうか。

  5. 徒手療法とマッサージ 深部組織マッサージ、筋膜リリース、関節モビライゼーションといった特定の徒手療法は、筋肉の緊張を和らげ、関節の可動域を改善し、血行を促進するのに役立ちます。これらは慢性的なテニス肘の緩和に一定の効果が期待できます。

  6. 再発予防のための対策 回復後も、テニス肘の再発を防ぐためには以下の対策を講じることが重要です。

    • 仕事や運動の姿勢を見直す: 前腕の筋肉を酷使する原因となる悪い姿勢は避けましょう。
    • 適切な筋力トレーニングとストレッチ: 前腕の伸筋群の筋力と柔軟性を維持し、再損傷のリスクを減らしましょう。
    • 適切な工具の使用: 工具を使う仕事の方は、人間工学に基づいた工具を選ぶことで、手首と前腕への負担を軽減できます。

これらの多様な治療手段を組み合わせることで、テニス肘の患者さんは徐々に機能を回復させ、痛みを軽減し、日常生活や仕事へと戻っていくことができるでしょう。


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