03.2023.23

漢方で身体の痛みを和らげる:転倒・打撲のケアと東洋医学の知恵

歳を重ねるにつれて、ちょっとしたつまずきや不注意で転倒しやすくなったと感じることはありませんか?スポーツ中の怪我はもちろん、日常生活での不意な事故や転倒、あるいは交通事故など、打撲捻挫といった外傷は、私たちの身近に潜むトラブルです。特に40歳以上になると、若い頃に比べて回復に時間がかかったり、痛みが長引いたりすることも少なくありません。

そんな時、私たち日本人が古くから親しんできた漢方薬が、その回復をサポートする心強い味方になることをご存知でしょうか?

漢方における外用薬の役割

漢方には、内服薬だけでなく、患部に直接塗布する外用薬も豊富に存在します。特に、転倒や打撲による痛み、腫れ、内出血などに対して、その特性を活かした様々な漢方外用薬が用いられてきました。

漢方傷科薬膏(かんぽうしょうかやくこう)のちから

例えば、台湾で古くから使われている「傷科薬膏(しょうかやくこう)」と呼ばれる外用薬は、打撲や捻挫といった外傷治療に特化した漢方処方です。一般的には、消炎・殺菌作用のある「膠質銀黄(こうしつぎんおう)」、血行促進効果が期待される「広藿香(こうかっこう)」、炎症を鎮め痛みを和らげる「白芷(びゃくし)」や「黄芩(おうごん)」、そして傷口の収斂(しゅうれん)や治癒促進に役立つ「地榆(ちゆ)」といった生薬が配合されています。これらの生薬がバランス良く働くことで、外傷部位の回復を助けます。

日本でも馴染み深い「青草膏(せいそうこう)」

また、台湾の家庭で常備薬として親しまれている「青草膏(せいそうこう)」も、日本でいうところのメンソレータムのような存在で、様々な場面で活用されています。主な成分として「馬歯莧(ばしけん)」には血行促進や鎮痛作用、「荷葉(かよう)」には消炎・解毒作用、「蒲公英(ほこうえい)」には解熱や腫れを引かせる作用があるとされています。これらの生薬が、外傷部位の赤みや腫れ、痛みを和らげ、傷の治りを促進するのに役立ちます。

打撲・捻挫に特化した「跌打損傷膏(てっとうそんしょうこう)」

さらに、打撲や捻挫に特化して開発された「跌打損傷膏(てっとうそんしょうこう)」という漢方外用薬もあります。「桂枝(けいし)」は血行を促し痛みを和らげ、「紅花(こうか)」は血の巡りを良くして腫れを軽減。「広藿香(こうかっこう)」は血行促進と湿気を取り除く作用、「独活(どっかつ)」は痛みを鎮める効果が期待できます。これらの組み合わせにより、打撲による痛みを緩和し、腫れを引かせ、傷の治癒を助けるだけでなく、患部の感染予防にも一定の効果が期待できるとされています。

漢方外用薬をご使用いただく際の注意点

これらの漢方外用薬は、いずれも外傷部位に塗布することで、局所の痛みや腫れを和らげ、傷の治りを助けることを目的としています。しかし、内服する薬ではありませんので、絶対に口に入れたり飲んだりしないでください。

ご使用の際は、以下の点にご注意ください。

  • 傷口の清潔を保つこと: 感染を防ぐため、塗布する前に傷口を清潔にしてください。
  • 用法・用量を守ること: 製品の添付文書に記載されている用法・用量を必ず守って使用してください。
  • 異常を感じたら使用を中止すること: もし使用中に症状が悪化したり、かゆみやかぶれなどの異常が現れた場合は、すぐに使用を中止し、医師や薬剤師にご相談ください。
  • 重症な場合や症状が改善しない場合: 症状が重い場合や、しばらく使用しても改善が見られない場合は、速やかに医療機関を受診し、専門の医師の診察を受けてください。

漢方外用薬以外のケアも大切

打撲や捻挫の回復を早めるためには、漢方外用薬と合わせて、ご自宅でできるケアも非常に有効です。

  • RICE 処置: 怪我をした直後は、安静(Rest)、冷却(Ice)、圧迫(Compression)、挙上(Elevation)の頭文字をとった「RICE 処置」が基本です。特に、怪我をして間もない時期の打撲には、アイシング(氷嚢や冷たいタオルで 10~15 分程度、1 日 3~4 回患部を冷やす)が効果的です。
  • 温湿布: 炎症や腫れが落ち着いてきたら、血行促進のために温湿布(温かいタオルや湯たんぽで 15~20 分程度、1 日 2~3 回患部を温める)が有効です。
  • マッサージ: 痛みが和らいでから、適度なマッサージを行うことも血行を促進し、痛みを軽減する助けになります。ただし、マッサージの強さや方法は慎重に行い、痛みが強くなるようであれば中止してください。マッサージ前には、患部を温めて筋肉をリラックスさせると良いでしょう。

皆様の健康な毎日をサポートするために

私たちは、台湾の伝統的な漢方の知恵と技術を活かした製品を通じて、皆様の健康な毎日をサポートしたいと考えております。特に、40 歳以上の方々が直面しやすい身体の痛みや不調に対し、自然な形でアプローチできる漢方外用薬は、きっとお役に立てると信じています。

もし、私たちの製品にご興味をお持ちいただけましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。特に、日本国内での代理店や販売パートナーとしてご協力いただける企業様は


参考文献 (原文掲載の参考文献を参考に、日本の書籍・論文形式に近づけています)

  1. 劉廷標 著,『中薬傷科学』, 中国医薬科技出版社,2007 年.
  2. 王志勇 著,「中薬傷科薬膏の臨床応用」, 『医学綜述』, Vol.14 No.11, pp.1579-1580, 2008 年.
  3. 王健康 著,「青草膏の臨床応用価値」, 『現代臨床医学』, Vol.40 No.1, pp.111-112, 2014 年.
  4. 廖麗娟 著,「跌打損傷膏の臨床的治療効果観察」, 『中国実用傷科雑誌』, Vol.25 No.5, pp.28-29, 2011 年.
  5. 張旭東 著,「中薬傷科薬膏の看護への応用」, 『中華現代看護雑誌』, Vol.22 No.14, pp.185-186, 2016 年.
  6. 中華人民共和国国家中医薬管理局 編,『中華人民共和国薬典(一部)』, 中国医学科学出版社,2015 年.