09.2022.27

表面のひんやり感、じんわり感と漢方薬本来の働きは違う?~体の痛みと和漢の知恵~

「冷たいと感じるから効果がある?」「温かいからリラックスできる?」

漢方医療の世界に足を踏み入れ、和漢軟膏に携わる中で、様々な方々との出会いがありました。バネ指で悩む方、階段から転落してしまった方、骨折の手術を受けた方…。そんなお話を伺う中で、最も多く聞かれる質問の一つがこれです。「ひんやりするから効くんでしょう?」「温かいからリラックスできるんでしょう?」「それって漢方薬の『涼性』や『温性』と同じことですよね?何が違うんですか?」

この疑問、実は多くの方が抱いているのではないでしょうか。この記事では、この **「ひんやり感・じんわり感」と「漢方薬の性質」の違い ** について、皆さんの身近な例を交えながら分かりやすくご説明します。

「感じる」と「作用する」は別物です

皮膚で感じる「ひんやり感」や「じんわり感」は、皮膚の温度受容器が外部の変化を感知し、脳にその情報を伝えることで生じる感覚です。これは、私たちが外部環境の変化にどう対応すべきかを教えてくれるサインのようなもの。しかし、皮膚で感じるひんやり感が直接的に炎症を抑えたり、痛みを和らげたり、腫れを引かせたりするわけではありません。同様に、じんわりとした温感も、血行を促進したり、瘀血(おけつ:滞った血液)を取り除いたりする本来の効能とは異なります。

痛みの緩和に必要なのは「生薬の力」

では、体の痛みや炎症、凝りに対して本当に効果を発揮し、改善へと導くものは何でしょうか?それは、ズバリ **「生薬そのものの成分」** です。

漢方薬に使われる生薬には、「温熱性」「涼寒性」といった固有の性質があります。これは、生薬が体内でどのような働きをするかを示すもので、決して皮膚で感じる温度とは異なります。

例えば、漢方薬の中でも特に苦いことで知られる「黄連(おうれん)」。非常に強い「大寒(たいかん)」の性質を持つ生薬です。もし黄連をそのまま、あるいは粉末にして皮膚に乗せたとして、皮膚が冷たく感じることはありませんよね?黄連の「大寒」とは、体内で熱を冷まし、炎症を鎮めるといった働きを指すのです。

大切なのは「生薬の性質」を見極めること

したがって、身体の痛みや炎症、凝りといったお悩みを根本から解決するためには、皮膚で感じる一時的な感覚ではなく、配合されている生薬が持つ本来の薬効こそが重要なのです。

今回の記事が、皆さんがこれからの商品選びの際に、よりご自身に合ったものを見つけるための一助となれば幸いです。


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